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2月8日。午前晴れ・午後吹雪・・・・・。久しぶりの大雪です。1月は比較的雪が少なくてありがたいと思っていましたが、ツケは必ず回ってくるものです。少しは棒引きしてくれると嬉しいのですが、まだまだ2月は先が長い・・・・。この1ヶ月を我慢すれば春の兆しも見えてくるのを期待して、冬眠を続けるオヤジであります。

本日もまた1970年代の洋楽の思い出話など・・・・。

1970年当時、ピアノ弾きのシンガー・ソング・ライターの表舞台のスーパースターはエルトン・ジョンに間違いありません。が、その彼に勝るとも劣らない異才が存在していました。その人こそレオン・ラッセル。表舞台のエルトン・ジョンに対して、裏舞台のスパースターと呼ぶべき巨匠であります。

小生がこの名前と音楽を知ったのは中学3年の頃。それはAMラジオのヒット・チャート番組でした。そこで流れていた曲が今日ご紹介する「タイト・ロープ」でありました。この曲を聴いた瞬間、まさに一目惚れではありませんが、一耳惚れでありました。強烈なエフェクトをかけたギター・サウンドや派手なブラス・サウンドにシャウトするボーカル・・・・といったロック・ミュージックが一般的になってきた洋楽シーンにあって、アコースティック・ピアノがオン・ビートで8分音符でコードを単純に叩くこのイントロを聴いただけで、「おっ?!」という状態でした。このシンプルさが何とも良くて、いきなりレオン・ラッセルの虜になってしまった次第であります。

なけなしの小遣いを工面して、シングル盤ではなく思い切ってLP盤を買い求めました。そのアルバこそレオン・ラッセルの代表作とも言われる名盤「Carney」(1972年発表)であります。このアルバムは全米チャートで4週連続で2位になり、レオン・ラッセルの名前を不動のものにしました。

1972 Leon Ruselle 「Tight Rope」


通常ロックン・ロールは8ビートで、バッキングも2拍目と4拍目にアクセントを置く、いわゆる「裏ノリ」が一般的です。この曲も基本的にはその原則に則っているのですが、バッキングのアコースティック・ピアノを前面に出したこのイントロ一発で、「普通のロックン・ロールとはどこか違う・・・・」という印象を与え、聴き手に次を期待させることに成功しています。曲自体は実にシンプルなものですが、そこはかとなく漂う哀愁のようなムードが、サーカスという華やかさの裏にある一種の哀しさと相俟って実に印象的な作品になっているような気がします。

このような曲調になったのも、レオン・ラッセル自身がピアニストであるがゆえと言えるかもしれません。ロックン・ロールにおいてアコースティック・ピアノのバッキング(伴奏)スタイルといえば、エレキ・ギターの電気力に負けずに、ひたすら8分音符でコードを力一杯叩き続けるというものでした。そう考えれば、このイントロもまさに同じことをしているだけなのですが、まずはテンポが非常にゆったりしていることと、そこに他の楽器がからまずピアノとドラムスだけで淡々と奏でるというスタイルは、ある意味非常に特徴的であって、新鮮な響きで聴き手に届いたような気がします。

このアルバム「Carney」にはカーペンターズがカバーし、その後ジャズ・ギタリストのジョージ・ベンソンのカバーバージョンが大ヒットした「This Masquerade」のオリジナルが収録されているほか、聴き応えのある名曲が目白押しです。全曲がレオン・ラッセル自身のオリジナルであり、スタジオ・ミュージシャン、ツアー・ミュージシャンとして音楽界に関わってきたレオン・ラッセルのソング・ライターとしての実力をまざまざと感じることが出来ます。

ではもう一曲。

1972 Leon Ruselle 「THIS MASQUERADE」


オリジナルならではの何とも言えない深い味わいがありますね・・・・。彼のボーカルはしわがれ声に加えて実に粘っこく、アクが強いと言うか、好き嫌いが別れるところではあります。そのせいかエルトン・ジョンのような万人受けするポップ・スターになることはありませんでしたが、そのソング・ライティングの才能はまさしく天才的であります。ジャンルは違えどジャズ界で鬼才と言われたセロニアス・モンクを連想してしまうオヤジであります。

セロニアス・モンクの演奏するピアノはまさに彼独自の世界観の表現であり、万人受けするものではなく、あのマイルス・デイビスとのセッションでは、マイルスをして「オレのソロのバックではピアノを弾いてくれるな・・・・。」と言わしめたほどぶっ飛んだものでした。そんなセロニアス・モンクがモダン・ジャズの世界で名曲中の名曲と言われる「Round About Midnight」を作曲した・・・・。レオン・ラッセルとセロニアス・モンク、やっぱりどかこ似通っているように思います。

それにしてもこのアルバム「Carney」は本当にスゴイアルバムだと思います。小生がレオン・ラッセルのボーカルを嫌だと感じないからかもしれませんが、音楽的な完成度・クオリティが極めて高い。サウンド面もさることながら、全体からレオン・ラッセルという鬼才のもつ生々しい人間性が溢れ出しているようであります。アルバムに収められている歌はほとんどが悲しい恋の歌であって、「Tight Rope」は恋する切ない気持ちをサーカスの綱渡りに例えたものであります。

また「THIS MASQUERADE」に関しては、アルバムの解説で今野雄二氏がこんな風に書いています。「ヘンデルを思わせるクラシカルな響きが奇妙にブルースと融合した魔術的なイントロに導かれて、恋という孤独なゲームに囚われた心の通わぬ愛の嘆きを、仮面舞踏会に例えて歌う・・・・。」なんとも巧く表現したものです。

そして今野氏は最後にこう書いています。「レオン・ラッセルという音楽家の持つ異様な魅力には、男の猥雑な色気のようなものがある。それは『オレは泣いちゃいない。目に涙なんか溢れちゃいないさ・・・(My Cricket の一節)』と言いながら、全ての歌声が泣いていると感じられることと無関係ではない・・・・。」 何とも言いえて妙、名解説だと思います。<泣きの鬼才レオン・ラッセル>の魔力にすっかり虜になった少年は、オヤジになった今でもその魔力から抜け出せずにいます。ということで、次回ももう少しこの鬼才の経歴を辿ってみたいと思います。


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