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久しぶりに戻ってきたかと思ったら、この寒波の最中にいきなり暑苦しい話でしたね。そこはまあ寛大な心でご容赦ください。しかし しかし もう少しだけこの話は続きます。

というのは、今年2009年わが故郷の江別を舞台にしたテレビドラマが制作され、先の12月19日(土曜日)に北海道地区で放送されました。その後九州の朝日放送系列局でも逐次放送されており、低い地鳴りのような評価の声が上がり始めています。そのテレビドラマとは、あのオバケローカル番組「水曜どうでしょう」のチームが制作した、2009年度HTB(北海道テレビ放送)スペシャル・ドラマ「ミエルヒ」であります。

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このドラマは「故郷って何だ?」「故郷で生きるって幸せなの?」「そもそもなんでここで生きてるの?」などを問いかけたドラマで、ストーリー的にも故郷を離れて10年間音沙汰も無かった主人公がある日突然故郷の家に帰ってくるところから話が始まります。

実際このドラマの企画が持ち上がったのが昨年2008年12月、具体的な脚本作りのための準備作業が始まったのが今年の4月、撮影が10月、そして放送が12月というスケジュールだったそうです。これが小生たちの中学の同期会開催に向けてのスケジュールと微妙に重なり合っているんですな。そしてその問いかけているテーマや思いがまたどこか重なり合っている・・・・・。これだけ重なってくるとちょっと怖いくらいであります。小生なんぞは単なる「偶然」という言葉で片付けてしまえない心持ちになっており、ドラマ制作スタッフの一人にでもなったかのような気持ちで放送を食い入るようにして見ました。

その感想を同期会のHP上で述べたのですが、ここに再掲させていただきます。

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うーーん、何と言ったらいいんだろう。
ビデオ録画して2度見ました。2度見ても分かったような分からないような・・・・・。
われらが故郷江別の美しい姿は圧巻でしたし、役者さんもその風景に自然に溶け込みつつ、個性を存分に発揮して実に見事なものでした。 

映像はもうチャラチャラしたテレビドラマの枠を遥かに超えていました。ビデオ録画したものからCM部分を取り除いてつなげて見たのですが、そうするとこれはまさしく中篇映画でした。「水曜どうでしょう」班も大したものだと思います。ミスターこと鈴井さんも映画制作を目指しましたが、正直言ってこの「ミエルヒ」のほうが遥か高みに達してしまったような観があります。

ストーリーはしっかりと存在していますが、このドラマはストーリーがどうのこうのという作品ではないです。かといって、人の情にホロリとさせられるとか、そのような情緒に訴えるような作品でもない。もっと深い、ある意味哲学的な問題(人間が生きていくということ)を見た人に感じさせる(考えさせるという訳でもない)ような作品だった・・・・とでも言うしかないかなあ。

登場人物それぞれに抱えている問題があって、それぞれが思い悩みつつ生活を続けていく。そのひとつひとつに軽重はないし、それらが微妙に繋がりあって時間と共に少しずつ少しずつどこかに進んでいく。生まれ育った土地・親や子の関係・そこに暮らす地域の仲間たちの関係も、決して偶然という言葉では片付けられない運命的なものを感じさせます。

作品の中では主人公に一応の答えを出させていますが、それが真実なのかどうかは小生には分かりません。このシーンがこの作品のクライマックスになるのでしょうが、どこかとってつけたような感じは否めませんでした。セリフに微妙な違和感を感じたからかな? 敢えて答えを言葉で表してしまうとでそれまでと違う性急さや押し付けがましさを感じちゃったからかもしれません。しかしテレビドラマとしては、視聴者の中に生まれるモヤモヤした感覚に対する何らかの答えを提示しないと収まりがつかなかったのかもしれません。ということで、そのあたりは「脚本家も演出家もかなり苦しんだんだろうなあ?」と同情的な立場ではあります。

小生はもっともっと深い真理があるような気がしましたが、今はうまく言葉で表現できません。それほどテーマは深いものだったと思いますし、それにチャレンジした制作陣の志の高さは本当に大したものだと思います。そんな深いテーマに対する一つの答えを(主人公のセリフからではなく)江別の街と自然の姿が何となく教えてくれているような感じがしました。ある意味難解な映画であり、一度見たら終わりというような作品ではないと思います。

惜しむらくは、CMを除くトータルの上映時間は約1時間10分。できることならば、もう40分くらい時間を費やして、主人公がひとつの答えに達する過程をもう少し丹念に描いてくれたらという気がします。そうするだけの価値のある質の高い作品だったと思いました。多くの方に是非ご覧いただきたい作品だとも思いました。つまらないCG大作映画に大枚はたいて時間を浪費するくらいなら、この「ミエルヒ」をご覧になったほうがよほど多くのものを得ることができると小生は確信しております。2009年の日本のテレビドラマ・映画の中でもかなり質の高い作品なのではないかと思います。

同じく北海道を舞台にして、中央キー局のスタッフや大物の役者やクラシックのパクリ楽曲を臆面も無くテーマ曲にして、いかにも「北海道」的なテレビドラマを作って大家面している某脚本家の作品などとは一味も二味も違います。「ミエルヒ」こそが北海道人の目線から見た北海道であります。

おっと、短く済ますつもりがついつい熱くなってしまいました。

さてさて関東地区の皆さんに朗報です。この「ミエルヒ」テレビ朝日で放送されることが決定したようです。放映は来年2010年1月30日(土) 深夜3時10分~4時35分。完全深夜放送ですが、ビデオ録画して是非ともご覧いただければと思います。そのほかの地域でも放送が予定されておりますので、上記画像をクリックして「ミエルヒ」オフィシャル・ページに行って放送時間をご確認ください。

それと若干の追加情報を。

① 根岸季衣の息子役岡村秀夫を演じた中野英樹、迫力ある花屋の若林サキを演じた萩原利映は、脚本を担当した青木豪氏が主催する劇団「グリング」の役者さんでした。実に味のある演技派でした。

② 最後の神前結婚式の舞台は野幌の錦山天満宮でした。

③ 風吹ジュン演じるスナックのママが、泉谷しげる演じる永島幸介に、「息子と飲んで話をしなさい」と言って手渡した焼酎の名前は「春夏秋冬」(泉谷しげる作の名曲)となっていました。

④ 音楽を担当したのは本間 昭光(ほんま あきみつ、1964年12月19日 - )。この起用は『水曜どうでしょう』予告編BGMの作曲以来の付き合いによるもので、昨年のスペシャルドラマ『歓喜の歌』の音楽も担当していました。

⑤ エンディングロールで流れた 中島みゆきの「時代」を歌っているのは、コザック前田(本名:前田泰伸、1979年9月30日 - )。「ガガガSP(スペシャル)」というパンクロックバンドの創設メンバーで、2004年には泉谷しげるとユニットを結成したつながりで、今回の起用になったと思われます。花屋のサキが運転する車の中で主人公の剛に遠まわしに結婚をほのめかすときに流れていた曲や、タクシーの中で泉谷しげるが「うるせー唄だな」と文句を言ったラジオから流れていた曲も、彼の曲でありました。

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最後に、この「ミエルヒ」が撮影されたのが2009年10月1日から。クランクインは10月13日で、われわれの同期会のあった10月17日には泉谷しげる氏と風吹ジュンさんが「初八つ目(八つ目ウナギ:石狩川名産)」に挑戦!ということで、野幌の「こじま」で食事をしたことが確認されています。となると、あの日は我々と「ミエルヒ」のスタッフ・キャストが野幌の街で接近遭遇していた!!!のであります。泉谷しげる氏と風吹ジュンさんが食事をしていた2階上のラウンジで「大2次会」のバカ騒ぎが行なわれていたことになります。ひょっとすると、泉谷しげる氏が「何か上がうるせーなあ、バカヤロウ!」と文句を言っていたかもしれません。

何度も言うようですが、今回の同期会と時を同じくしてこのドラマが制作されたこと、同期会のテーマと「ミエルヒ」のテーマがかなりの部分で重なり合っていたこと、そして同期会当日にはそれぞれのメンバーがほぼ同じ場所で重なり合っていたこと・・・・・。そんなこんなを考えると、この「ミエルヒ」がとても他人とは思えなくなっている小生であります。
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